古傷

古傷が痛む。誰もが言いたい言葉の一つであろう。

先日、ソープへ行ったのだが
いつものようにマットプレイを楽しんでいると
腿裏に激痛が走る、そう腓返りだ。簡単に言うと脚を攣ったのだ。

誰もが経験はあるだろう。告知もなく訪れる逃げようのない痛み。
マットプレイ中に、それに襲われたのだ。
嬢からすれば、痛みに耐え
苦悶な表情を浮かべる私を理解できなかったであろう。

ただし、プレイを中断することを許さない私のジェントルな気質が
痛みを無理矢理に筋力で封じ込めるという荒技を体現したのである。

だが、その代償はあまりにも大きかった。
腿裏に違和感を残し、歩くたびに激痛が走るのである。

どうにか痛みを逃しながら歩こうとすると
少し奇妙な動きになってしまう、それはもう変なやつだ。

私の威厳を保つために、これだけは伝えておきたい。
ソープでのマットプレイは恐ろしいほどに体幹を使う。
スノボー経験者には理解できると思うのだが
雪山を滑り降りるアレよりも、8倍の負荷がかかると思って欲しい。
そうまでして、快感を得ようとする私の性は、まだまだ捨てたもんじゃない。

年々、老いを感じるようになってきた。
30歳を境にして、人間は体質も変わる。
私はそれを学んでいた。お酒で失敗している芸能人は皆。
30歳を過ぎてから事件を起こしている。これも体質変化による災いの一つだ。
俺はAAAだ!の人も、タクシー運転手殴った元サッカー選手も、公園全裸も。
それは加齢とともに、体力も衰え、今まで可能だっとことが不可能になる。
悲しいのだが、それが現実である。

全身をローションにまみれ
マットの上をメーメイドが如く、踊り舞っていた私はもう死んだのだ。
大好きだったおじいちゃんが死ぬ前に
寝床から起き上がれなくなって悔しがっていた気持ちが今の俺には理解できる。

人はいつか死ぬ。
だから私はいつまでもローション遊びをしていたい。
死ぬときに、いっぱいマットプレイしたな、と思える人生にしたい。
哲学が生まれた瞬間だった。
カッコつける必要なんて無いのだ、見栄を張るのはやめよう。
痛かったら痛いと言える、嘘のない素直な自分になることを決意した。

そして、変な歩き方で会社に行った私は
後輩から『脚、痛そうにしてどうしたんですか?怪我ですか?』と。

私は答えた
『昔にやった古傷が痛むんだよね。』